リタワークス 創業者 佐藤 正隆 × ソーシャルグッドリンク 代表 寿倉 歩 対談

社会課題への取り組み

共感投資の可能性(リタワークス×マイスタースタジオ対談企画)

共感投資の可能性

(リタワークス×マイスタースタジオ対談企画)

今回、病院専門のホームページ制作・運用サービスのMirahos(ミラホス)やNPO専用のホームページ制作・運用サービスのnuweb(ニューウェブ)、地域医療連携システムのmedigle(メディグル)、寄付金のクレカ決済・寄付管理システムのコングラントなど数々のソーシャルビジネスを立ち上げてきたリタワークス株式会社の創業者、佐藤正隆さんの共感投資という理念に賛同し、弊社も優先株を購入させていただきました。
今回は、社会起業家としてリタワークスの佐藤さん、社会投資家としてソーシャルグッドリンクの寿倉がそれぞれの立場で、共感投資についての考えを伺っていきます。

PROFILE

プロフィール

佐藤 正隆

リタワークス株式会社 創業者
コングラント株式会社 代表取締役CEO

1980年生まれ、岡山県出身。

あらゆるソーシャルビジネスに挑戦していくことを志向し、リタワークス株式会社を中心とした企業、事業会社を経営。リタワークスは「利他の想いと行動で、世界をより良くする」を理念に掲げ、NPO業界・病院業界に特化したソーシャルビジネスを展開し、コングラントなど業界に無くてはならないサービスを開発・提供している

寿倉 歩

株式会社マイスタースタジオ
ソーシャルグッドリンク 代表

1982年大阪生まれ。メディアや証券、保育など様々な業界を経験後、アフィリエイトASPを運営する株式会社ウェブシャーク(現Yogibo)初期に参画、株式会社マイスタースタジオ設立、株式会社テミスホールディングス(現ラッコ)のメディア事業を管掌、同社取締役を経て、社会を良くする商品・サービスを広げることを目的とした成果報酬型の広告プラットフォーム ソーシャルグッドリンクを創業、同社代表を務める。

まず、共感投資について簡単に教えていただけますでしょうか?

佐藤

共感投資というのは、事業やビジョンに共感し、応援したいと思う人が資金を提供する投資スタイルです。私たちを応援してくださる投資家が資金を出し、私たちはそれに対して配当をさせていただきます。

通常、未上場の企業に投資すると将来的に上場益を期待できますが、リタワークスは上場する予定はないため、投資家は上場益を得ることはありません。代わりに、ビジョンに共感し、成長を支える投資家には配当という形で還元しています。

社会起業家と社会投資家それぞれの立場でこれまでの資金調達や投資の課題についてお伺いできますでしょうか?

佐藤

これまで多くの企業は銀行からお金を借りてきて、そのお金は貸借対照表では長期借入金に入ってきたと思います。これは当然返すべきお金で、ともすればちょっとネガティブな印象もあると思うんですよ。資金繰りが厳しいのかなとか。共感投資は借入ではなく資本なので、ここが厚くなっていくのは基本的にポジティブなことです。

また銀行と取引しても応援の輪って広がらないと思うんですね。これが共感投資だと、株主説明会でリタワークスの経営について知っていただいたり、またお仕事の依頼やご紹介をいただいたりして、応援が広がっていくのも良いところですね。

寿倉

もともと僕は証券会社にいたこともあって株式投資は好きだったんですが、ついつい短期的な株価の上下に目がいってしまったりします。それは新しく価値を生み出すことではないので、僕の時間の使い方としても生産的ではありませんし、もともとは社会投資のつもりであっても会社のお金なので大きく減らすわけにはいかないというのも同時に発生してしまうのでこれはストレスになっていました。今回の優先株は株価が上下しないという点は心が乱されなくてとても有難いと思っています。

先日はじめてリタワークスさんの株主説明会に参加しましたが、とても勉強になりました。こうやって具体的にどう社会課題を解決しているのか、どれだけ多くの方の助けになっているのかを知ったことで、すでに何人もの知人友人に話しています。まさに佐藤さんのおっしゃった通り、応援の輪が広がっていますね。

共感投資では、想いがベースになっていると思うのですが、業績についてはどう考えていますか?

佐藤

共感投資だから業績が悪くても良いとは考えてなくて、業績が悪くて配当ができませんでしたっていうことも過去ありません。株主の皆さんに説明するときに恥ずかしい経営はできませんので。

寿倉

そこが凄いですよね。僕は正直、リタワークスが描きたい未来に賛同して投資してるので、業績が一時的に悪くなったとかそういうのはあまり気にしないかなと思ってます。
逆に言うと業績も大切なのですが、それよりも社会課題へどれくらい良い影響を及ぼしているのかっていうのは一番知りたいところです。

佐藤

はい、リタワークスがいないと取引先やお客様が困ると言ってもらえるようになれば、業績はついてくると思ってます。

社会性・独自性・経済性の順番で経営を考えるというのを早い時期から考えて取り組んでいて、儲からなくて誰もやらないけど、困っている人がいる。そういうところでリタワークスが長く続いてほしいと言っていただけるようになっていれば業績も自然に上がると考えています。

寿倉

僕らもソーシャルグッドリンクやGoogle Ad Grantsに取り組んでますが、自分自身も社会起業家としてやっていて持続可能な収益を生むのはめちゃくちゃ難しいなと思ってます。佐藤さんが業績も問題ないと言い切れるのは、長くやり続けた結果なんでしょうね。本当にすごいと思います。

共感投資というのは初めて聞いたのですが、どこか参考にした企業はあったんでしょうか?

佐藤

共感投資っていう同じようなやり方をしてるところはあまり事例がないと思うんですよね。
スタートアップってM&AとかIPOしようということだと色んなやり方が共有されてると思うんですが、長く継続して経営していこうっていう会社のエクイティファイナンスの教科書ってないんですよね。 

例えば、配当に関して言えば、100万円を投資をしていただいて配当が積みあがった合計金額が 150万円、つまり150%になったら、その時には買い取らせていただくことがありますという一文を契約書に入れています。

寿倉

そこはちゃんと読んでませんでした(笑)でも面白い仕組みですね。あまり他社で聞いたことのないルールですね。

佐藤

そうなんです。これは感覚的なものでもあるんですが、増えていくだけだとおかしくなるっていうのは思ってまして。株主さんが増えていくんですけど、減らす機能を持たないとやっぱりどこかおかしくなる。株主さんも循環することが必要だと思ってます。だから、株主さんが解約したいとなったら、買っていただいた額面で買い取るという仕組みにもしています。

寿倉

そう考えたら株主側にリスクはありませんよね。個人的には多少のリスクもあって良いと思いますが。

佐藤

直近で言うと5000万円の募集で満額いったんですが、実はそのうちの1000万円ほどは社員さんとその家族なんです。特にお願いしたわけではなく、社員自ら投資したいと言ってくれて。これはやっぱり嬉しいですよね。

寿倉

それは最高ですね。身内がそうするというのは素晴らしい会社であることの何よりもの証明ですね。世の中的にはストックオプションが一般的だと思うんですが、それだとIPOなどが前提になりますし、ちょっとギラギラしちゃうというか資本主義のロジックが強くなっちゃいますよね。共感投資だとそこが長期的で緩やかになって、なんというか心地いいですね。

良いところしかない仕組みだと感じます。逆にデメリットってあるんでしょうか?

佐藤

はい、良いところばかりだと思ってます。あえて言うなら業績や利益を出していく緊張感でしょうか。
もし仮にそれが強迫観念みたいになってしまったら当然デメリットなんですが、今のところそれは一切ないですね。

寿倉

業績に関しては何というか悪くなるイメージが全くないですね。業績自体も順調に伸びていかれると思いますが、仮に売上利益が多少落ちたとしても社会課題を解決できていたら問題ないと僕自身思いますし、先日の株主説明会でもそういった空気を感じました。

佐藤

株式会社として他の株主さんに入ってもらうかもらわないかというのは、プロ野球と草野球みたいな違いだと思っていまして、プロ野球は観客がいますし、プロとしての仕事をするじゃないですか。でもこれが完全に自分だけが株主となるとどうしても甘えが出てしまう。そういう意味でも良い緊張感だと思っています。

今後の共感投資と事業をどう展開していくのか聞かせてください。

佐藤

リタワークスとしては共感投資をもとに、社内の事業として病院専用のホームページ制作・運用サービスのMirahos(ミラホス)やNPO専用のホームページ制作・運用サービスのnuweb(ニューウェブ)に引き続き投資していきます。

また、すでに別会社となった会社としては地域医療連携システムのmedigle(メディグル)や寄付金のクレカ決済・寄付管理システムのコングラントもあります。
自社発ではないソーシャルビジネスへの投資としてはウガンダの井戸水のモバイル決済&管理サービスのSundaにも投資させていただきました。
共感投資は2年に1回の募集で上限も設けてやっていく予定ですので、また募集の際にはぜひ検討ください。

寿倉

すでに資金をフル活用されていて本当に凄いですね。僕たちは、リタワークスの共感投資を通じて新しいソーシャルビジネスに貢献できれば素晴らしいなと思います。
また僕たち自身もソーシャルビジネスを立ち上げているので、逆にリタワークスさんから投資していただけるような良い会社にしていきたいですね。お金としては行って返ってきているだけかもしれませんが、それで会社同士が親戚になるというか、仲間になって応援しあえると最高ですね。
もちろん、社会投資家として僕らもこれから出会う新たなソーシャルビジネスにも微力ながら直接投資もさせて頂けたらと思っています。

このたびはありがとうございました!

取材後記

共感投資という出会いを通じて、リタワークスさまとマイスタースタジオにご縁ができたことを本当にうれしく思います。
私たちも共感投資を担う一員として引き続き投資に参加させていただくと共に、情報発信者としてこの取り組みを広めていきたいと考え、今回の対談を企画させていただきました。

1人でも多くの方にこの共感投資という新しいスタイルを知っていただき、リタワークスさまへの投資を検討いただけたら幸いです。